研究概要 |
本年度に得られた知見を以下に示す. 1.地下水汚染・土壌汚染を引き起こしている有害物質の地下水変動による物質移動を可視化手法や濃度測定に基づき明らかにした.地下水面上に滞留している有害物質は地下水変動の影響を大きく受けるが,飽和帯中に滞留している場合には地下水変動の影響が小さいことがわかった. 2.従来用いられていた移流拡散方程式に,有害物質の溶解の効果を組み込んだ鉛直1次モデルで数値計算を行い,地下水面変動速度と有害物質の溶解の関係を明らかにした.さらに水平方向の地下水流速を与えた2次元モデルを用いた計算を行い,地下水流速と地下水変動速度による2次元溶解濃度分布に与える影響を求めた. 3.揮発性有機塩素化合物などによる土壌や地下水汚染の汚染源探査や高濃度地域の絞り込みに,遠隔技術として土壌ガス調査法が用いられている.本研究では,このような調査法によって汚染物質の存在位置を探知することを目的として,現地調査,数値解析などの結果から汚染物質の地下環境中における浸透過程と汚染物質の動態を明らかにした.その結果は,汚染物質存在位置の探知技術の精度の向上に役立つことになる.
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