研究課題/領域番号 |
09875131
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研究機関 | 秋田県立農業短期大学 |
研究代表者 |
鈴木 有 秋田県立農業短期大学, 木材高度加工研究所, 教授 (90027235)
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研究分担者 |
岡崎 泰男 秋田県立農業短期大学, 木材高度加工研究所, 助手 (70279511)
後藤 正美 金沢工業大学, 工学部, 助手 (40170469)
土屋 敦夫 金沢工業大学, 工学部, 教授 (80064468)
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キーワード | 木造建物 / 在来軸組工法 / 伝統軸組工法 / 耐震抵抗機構 / 技術思想 |
研究概要 |
1.二つの木造工法の『技術思想』と『抵抗機構』に関わる事項を、各種文献調査と既存の典型建物の現場の調査により収集し、体系化しつつデータベース化した。 2.上の結果を基に、二つの工法に関わる『技術思想』と『抵抗機構』について仮説を設定し、前者は大工棟梁への聞き取り調査等を、後者は仮説モデルの耐力解析や応答解析等を繰り返し検証しつつ確定した。 3.上の仮説を基に、「伝統工法」と「在来工法」に関して、『技術思想』及び『抵抗機構』の共通性と相違性を比較分析した。 4.同様に、『技術思想』がどのように『抵抗械構』に反映し具現しているかを、歴史的な変遷過程も含めて比較分析した。 5.その結果,「伝統工法」は地震外力をしなやかに受け入れ、各所に分散しながら吸収する粘り強い構造体を造ること、(1)「土塗り壁」・(2)「通し貫工法」と「柱・梁の木組み接合部」・(3)「柱じか置基礎」で段階的に抵抗する『多段階防衛型』であること、この「自然体型」は無理をせず、地震力が大きくなれば壊れる部分も予め造っておき、多数のダンパーを内蔵してエネルギーを消散し或いは遮断すること、材料と構造と工法の絶妙な経験的・口伝的バランスの上に成立し、現段階では未だ一般化が難しいこと等を明らかにした。 6.「在来工法」は構造力学の論理に基づいて、力には力で抵抗する剛性の高い構造体を造ること、「斜材入り軸組構面」と「面材張り構面」との共働作用で抵抗する『総力前線防衛型』であること、この「力抵抗型」は、一般化した計画・工法・技術に立脚して、基本を忠実に守れば大抵、力の封じ込めに成功し、ほぼ無被害に留め得るが、弱点があるとそこに地震力が集中し、一気に大破壊に進みやすいこと、等を明らかにした。 7.これらの分析の成果は、両工法の木造住宅の耐震診断・改修指針と耐震性能簡便判定法の構成に反映させた。
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