本年度は、昨年度に引き続いて樹木の主に環境物理的効果に関する既往文献調査を進めると共に、これらの知見を踏まえ、1)都市に現存する樹木を従来研究を参考に類型化して、2)市街地に樹木を導入する際の事前・事後評価のための計測・評価手法を検討した。 都市に現存する樹木の類型化は、既往文献を参考にして樹種の他に樹冠幅、樹高等の樹木の形状により類型化を行った。また類型化した樹木を定量的に計測する事前評価手法としてのリモートセンシングによる樹木の把握および同定の可能性についても検討した。その結果、現在普及しているリモートセンシング技術では、実用には若干の課題があるものの、近い将来は十分応用可能であることを示唆した。 また都市緑化にあたって、地域住民の樹木に対する意識も重要な要素である。そこで本年度は、都心部の住民を対象に樹木に関するアンケート調査を実施し、地域住民の樹木の嗜好や植樹に適した空間に関する意識を分析した。この結果と現在適用されている植樹に関する基準等とを比較し、設計者サイドで考えられている緑化手法と地域住民が求める緑化のあり方に関して、その相違を明確化するとともに、今後の都市緑化における植樹のあり方について議論した。 以上昨年度と今年度の研究結果をふまえ、本研究で提案する原単位樹木モデルを、科学的、主観的側面から考察して総括するとともに今後の研究課題を提示した。
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