研究課題/領域番号 |
09875134
|
研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
深澤 大輔 新潟工科大学, 工学部, 教授 (40113401)
|
研究分担者 |
富永 禎秀 新潟工科大学, 工学部, 助手 (00278079)
飯野 秋成 新潟工科大学, 工学部, 講師 (80272706)
持田 灯 新潟工科大学, 工学部, 助教授 (00183658)
|
キーワード | 屋根雪処理 / 自然融雪 / 雪密度 / 通気 / 積雪層 / 電磁波 / 放射 / ピラミッド型屋根 |
研究概要 |
新潟県栃尾市原町において、平成10年1〜2月にかけて、東西5.4m×南北5.4mの鉄筋コンクリート製の車庫の屋根を雪庇が生じないように金網(H:0.9m)で6等分し、それぞれから融雪水をホ-スでポリ容器に導き、計測できるようにした。その性状は、単管と塩ビパイプφ50を425mmグリッドの交点に垂直(H:1m)に立てた2区画、同じ長さ分を格子状に横に並べた2区画、鉄板敷き1区画、コンクリート面1区画とした。温度はそれぞれの表面並びに外気温などをサーモメーターによって記録した。この全体の温度分布については、サーモトレーサーによって日中3時間毎にパソコンに画像入力を行った。この他、車庫中央と隣接する庭において9時の積雪深を積雪深棒によって計測した。 今冬は1月中旬から根雪となり、1月27日には積雪深が140cmを超え、金網を吊した単管が雪に埋没した。その様子を観察すると、下端(H:1m)に空隙が発生し、次第にそれが下方に発達して拡大し、数日後には屋根面まで到達した。これは金網を通じた外気温の伝導と放射の影響も予想されるが、単管下端の積雪密度が疎となり、外気から浸入する通気のため、融雪が促進されるものと見られた。因みに密閉した水槽では1本のロウソクが数分で消えるのに対し、3倍の気積を持つ雪洞では10本のロ-ソクの内、9本まで燃え尽き、途中では消えなかった。 今年度の実験並びに資料収集の結果からは、「太陽からの長波などが積雪層を透過し、単管に当たって熱作用を起こすことによって融雪が進む」との仮説の裏付けは得られなかった。しかしながら、「安定した積雪層に対し、その上又は内部に積雪を阻止する物体があると、その下の雪密度が希薄となるため、そこから外気の通気が生じ、積雪層内部の融雪が進む」との新たな仮説が得られた。来年度はこの新たな仮説の確認をしながら研究を発展させたい。
|