研究概要 |
初年度はまず,金沢市と東京の小・中学校施設における緑環境実態調査をもとに各学校の緑環境の数量化を試みるとともに,緑化条例など行政の取り組みを把握した。一方,学校教育活動と緑環境との関係を学校環境緑化コンク-ルを通して分析した。その結果,下記の知見を得た。 (1)常緑樹,落葉樹,高木,低木の割合,および植樹形態として「花壇・芝生型」,「単独型」,「垣根型」,「密集型」,「並木型」の5類型に分類することができ,その構成率を得た。 (2)東京都では敷地当たりの緑被率を20%と設定し指導しているが,現状はこれをしたまわる事例が多いことがわかった。12%前後がその平均であった。都市部より農村部に緑被率の低い学校が多いことも指摘できる。 (3)建物体積と樹木体積の比が緑化の指標として有効と考えられる。現状はその比率は3対1で,緑量の多い学校と少ない学校とでは4倍近くの差があることが分かった。 (4)緑の量は夏と冬では異なるが,夏場の緑量が重要である。 (5)緑化コンク-ルから自治体による顕著な差がみとめられる。今後,環境教育の教材・教具として活用されることが期待されるが,その具体的事例を収集したい。 次年度は,緑化を積極的に取り組んだ事例(酒田市)を加え緑環境の定量化を試みる予定である。 緑視率や教室から見える緑の効果など,児童・生徒に与える心理的な効果についても考察したい。
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