本研究では、まず第一に、「接続可能な建設活動」のあり方について、文献調査を踏まえて検討を加えた。次に、空間、資源、エネルギー、環境、建設産業のキャパシティのカテゴリーを文献研究をもとに仮説的・概括的に整理した。 本研究では、これらのうち、特に環境及び建設産業のキャパシティに関心を絞り、各キャパシティのカテゴリーに関わる因子を文献調査、聞き取り調査、アンケート調査(建設産業主体を大正)をもとに抽出した。これらの調査を踏まえて、各因子の相互関係を、システムダイナミックスを用いて記述することを試みた。まず初歩的なモデルとして、森林資源の資源量(成長量・伐採量・ストック量を主たるファクターとした)と、木造住宅の建設量とが、どのような量的関係になれば、森林資源の接続性が確保できるかを、パラメーターの値を変えてシミュレーションを行った。その結果、必ずしも住宅建設戸数が卓越した因子となるわけではなく、パラメーターの値の組合わせ(ある仮定条件下)においては、森林の成長速度が卓越した因子になりうるという知見が得られた。引き続き、本研究は、建設産業のキャパシティについて検討を加えた。特に、建設産業の就業者数と、建設需要量との関連性について、システムダイナミックスの手法を用いてモデル化を試みた。このモデルを用いたシミュレーションの結果は、労働生産性及びプロジェクトの規模分布が卓越した因子となりうることを示している。次年度は、システムダイナミックスにより、より包括的なモデルの構築を試みる予定である。
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