建設活動は、空間、資源エネルギーをインプットし、建設産業の生産能力を用いて、建物や社会基盤・産業施設をアウトプットする活動であると理解できる。インプットされる、空間、資源、エネルギーは、それぞれ有限のキャパシティを持っている。同様に、建設産業の生産能力も有限のキャパシティを持つと考えられる。本研究は、持続可能(サステナブル)な建設活動を構築するには、これらの有限なキャパシティの間に存在するバランスを維持することが必要になるという着想にたって、これらのキャパシティの相互関係に関するモデルを作成し、どのように有限なキャパシティをどのように割り付ければ、持続可能(サステナブル)な建設活動を構築することができるのかについて知見を得ることを目的とした。 本研究では、第一に、日本の建設市場を対象に、各種のキャパシティの割付けについて分析を行い、今後、既存建物・社会基盤施設の維持保全改修需要が増大するため、建設業の生産キャパシティを維持保全改修工事に割り付けていく必要性があることを明らかにした。 第二に、建設活動に伴う環境負荷と環境キャパシティの関連について、建設活動に係わるマテリアルフローに着目し考察した。その結果、主要構造材料については、既存建物・社会基盤施設にストックされている材料総量は、今後の新規需要予想量よりも大きいこと-言い換えれば、既存建物・社会基盤施設にストックされている材料を再利用すれば、新たに資源採取をする必要がないことを明らかにした。 第三に、本研究では、建設活動の持続可能性を阻害するクリティカル・ファクターを抽出するための、インジケーターを考案し、その評価インジケーターの評価方法について検討を加えた。その結果、単に、環境キャパシティだけではなく、空間キャパシティ及び投資キャパシティがクリティカルになりうることを明らかにした。
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