研究課題/領域番号 |
09875150
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉崎 亮造 筑波大学, 物理工学系, 教授 (70011137)
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研究分担者 |
池田 博 筑波大学, 物理工学系, 講師 (50272167)
古谷野 有 筑波大学, 物理工学系, 講師 (00215419)
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キーワード | STM / 低温 / 強磁場 / 超高真空 / アプローチ機構 / 酸化物超伝導体 |
研究概要 |
低温・強磁場で固体表面を研究するため1)超高真空中試料搬送と表面処理、2)4.2〜2Kで観察、3)10テスラ以上の強磁場中で観察、を可能とするSTMを開発している。装置は試料導入室、試料処理室、XPS観察室、STM室、13テスラ超伝導磁石を内蔵するクライオスタット、そして空気浮上の除振台で構成されている。到達真空度は10^<-11>Torr台である。我々のシステムではSTMヘッド全体が超伝導磁石のボア内に納められ4.2Kに保持される。Tip Approachingには極低温・磁場中であることを考慮して慣性駆動(いわゆる"尺取り虫"方式)を採用した。シェアピエゾを4.2Kにすると同じ印加電圧でも変位が室温の1/3以下になることや摩擦係数が温度変化するためトラブルが発生した。 超高真空中で銅酸化物高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_8(Bi2212)単結晶を劈開するには以下の方法を用いた。単結晶をアルミ板に銀エポキシ(Epotek H21D)で接着し、その上にφ1mmの金属棒を真空用エポキシ(Dexter EPK01)で接着する。これら全体を試料処理室に導入後トランスファーロッドで棒を叩き落とすことで平滑な真空劈開面を確実に得ることが出来た。結晶の強い2次元的な性質のため表面が高さ方向に不安定であったが原子像を捉えることが出来た。良像が得られる確率はタングステン探針よりも白金イリジウム探針の方が高いようである。 STMは物質の原子構造を実空間でとらえることが出来るので構造相転移の"その場観察"は非常に興味深いが、観察中の温度変化を嫌うSTMに適した試料は少ない。我々はγ-FeNを4.2K程度に冷却し、磁場を印加すると構造相転移することを見いだした。我々のSTMは、このような物質の研究に強力な武器となると期待している。
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