近赤外極短光パルスを繊維強化ガラス及び繊維強化セラミックスに照射し、透過したパルス光の時間遅れと振幅の変化を検出し、その波形解析をもとに複合材科中に生じているミクロな損傷を定量的に評価することの可能性を検討した。実験には波長850nm、出力10mV、半値幅50psの極短光パルスを用い、SiC繊維強化SiCマトリックス複合材料(CVI法により作製したもの)およびAl_2O_3繊維強化Al_2O_3複合材料の引っ張り試験中における極短光パルス波形変化を調べた。 複合材料に片測切り欠きノッチ付き試験片を用い、ノッチ先端でマトリックスの微視破壊や界面剥離が生じるようにした。ノッチ先端部からのレーザー光の検出スポットサイズは直径0.2mm〜5mmの範囲とし、申請した視野調整レンズ付き元ファイバーパルス光検出装置を用いて出力光の試験片表面でのビーム直径を変化させ、異なる時間遅れビームを検出した。これらの結果より、最適な出力光ビーム直径を決定した。 ノッチのない平滑試験片を用いて引っ張り試験を行い、検出レーザーパルスのビーム直径を変化させて透過パルスを測定した。その結果、複合材料の繰り返し負荷/除荷法による永久ひずみ弾性率変化と、極短光レーザーパルス法により得られた損傷との間に相関性が見られた。
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