極限材料の創製をめざすために、超高速液体セラミックジェットの発生法を開発することを目的に導電性高融点セラミックスの粉体を高電圧、大電流の放電により短時間に加熱、爆発させてジェットの発生を行った。試料としてホウ化ジルコニウム粉体を用いて、あらかじめ特別に設計、製作した容器内に充填して上記の電熱爆発を行った。粉体の加熱と爆発に要した電気エネルギーを計測した電圧と電流波形より算出し、粉体の溶融のみに要するエネルギーの3倍に相当するものであった。ジェットの前方に設置した金属板上に形成した堆積物を詳細に電子顕微鏡により観察した結果、セラミックスの出発粉体が溶融していた形跡を確認した。また、堆積物の表面からのX線回析を調査した結果、ホウ化ジルコニウムが化学分解した形跡は見いだされなかった。 ジェットの形状と速度を観測するために短パルスの軟X線を用いてシャドウグラフ撮影を行った。この際、2台のX線源を用いてジェットの飛行時間を観測した。その結果、ジェットを形成する微細な液滴群の先端速度が秒速1000mに達することを見いだした。そして、先頭部分は時間の経過に伴い希薄になることを確認した。また、ジェットの初期の形状がジェット噴出口の形状に依存することを確認した。 以上の研究により、高速の液体セラミックジェットの形成を確認した。また、種々の知見をもとにジェットの形状と速度の制御の可能性を見いだした。
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