従来、測定方法がなかった微細気孔の長さ方向の分布を求める新方法を開発することが本研究の目的である。そのためまず吸着ガスの気孔充填非定常モデルを作成した。気孔内の充填様式は気孔サイズにより次の2つに分けて考える。 1)メソポアー(2nm<dp<50nm) この場合は吸着ガスは液相凝集するので気孔内部の空間を液相が充填する場合の数学モデルを作成した。 2)マイクロポアー内(dp<2nm) マイクロポアー領域における気孔内充填数式モデルの作成を行った。この場合は吸着は数分子が積層した状態となり、壁と分子の相互作用、気孔壁を形成する分子配列を考慮した。 ガス吸着法により得られた吸着平衡までの吸着圧の変化のデータを利用し、マイクロポアー領域における気孔内充填数式モデルに基づき各種多孔質体中のマイクロ気孔、およびメソ気孔の長さ方向の分布を求めた。マイクロポアーへの充填は各々の分子が吸着脱着を繰り返し、気孔内部へ移動することにより行われると仮定した。計算に際し、壁を構成する分子との相互作用を考慮し、求めた長さ方向の分布は電子顕微鏡による直接測定結果と比較し、モデルの妥当性を検証した。
|