研究課題/領域番号 |
09875196
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
王 征宇 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (10213612)
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研究分担者 |
小林 正幸 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (70271864)
野澤 庸則 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (10006322)
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キーワード | ルビスコ / 炭酸固定 / NMR / カルボキシラーゼ / オキシゲナーゼ / 酵素活性 |
研究概要 |
生体系炭酸固定の研究には、これまで主として放射性物質である炭素14が追跡物質として使われてきた。炭素14は放射性の寿命として5730年(半減期)と長く、人体に有害で、しかも高価である。その扱いはガスの場合、四方八方に飛散しやすいため大変難しく、特別なRI施設が必要である。これに対して、本研究では無害で、自然界に100%存在比の^1H,^<31>Pと約1.1%の存在比の^<13>Cに注目し、これらをCO_2固定の研究に用いるという独創的なアイデアに基づき、さらに核磁気共鳴(NMR)という高分解能・高感度の分析装置によりCO_2固定反応回路を原子レベルで調べることを試みた。 今年度は、昨年に続き、NMRを用いて二酸化炭素固定の鍵酵素であるRubisco(ルビスコ)のキャラクタリゼーションを行った。ルビスコは、炭酸固定以外に酸素も取り込むこと(オキシゲナーゼ反応)がもう一つの大きな特徴である。両反応は互いに阻害し合う関係にある。平成10年度には、これまで確立した核磁気共鳴法を利用して、RubiscoのCO_2とO_2に対する特異性係数を定量的に評価した。^<31>P-NMRスペクトルより、両反応生成物(含燐化合物)の割合から特異性係数が求められるだけでなく、pH変化、反応の進行度合い並びにホスファターゼ活性も同時に評価できることがわかった。また、^1H-NMRスペクトルは高感度のため最高の時間効率をもつ一方、特異性係数の高い酵素に最も適していることが判明された。高等植物と光合成細菌から単離精製された三種のRubiscoについて、NMRより求めた特異性係数は他の方法より得られたものと良く一致していることが分かった。これらの結果と共に、本助成金によって得られた成果の詳細について、既に掲載されている国際学術雑誌に2報の論文としてまとめられている。
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