研究課題/領域番号 |
09875231
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田畑 昌祥 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50091476)
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研究分担者 |
伊藤 雅英 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (30150874)
谷田貝 豊彦 筑波大学, 物理工学系, 教授 (90087445)
榎戸 武揚 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (10001992)
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キーワード | 半導体 / レジスト / ポリアセチレン / ポジ型 / カラムナー / ESR / Rh錯体触媒 |
研究概要 |
本研究は、当研究室が開発したRh錯体触媒を用いて、アセチレンのエステルを立体特異的に重合し、これが新規の高感度なポジ型のレジスト材料として機能するか、即ちシリコンを使用しない全く新規の高分子だけによる半導体(シリコンレス半導体)が作成できるかどうかを調べることを目的とするものである。 平成9年度は、目的のアセチレンモノマー:HC≡CCOORを合成し、Rh錯体によって重合できるかどうかを検討した。その結果、Rがエチル、プロピル、プチルの時にシス体でしかも高分子量のポリアセチレン、Mn=160000-190000が生成した。これは当初予測したように、固体では自己組織として擬ヘキサゴナル、即ちカラムナー構造を取ることをX一線回折で確認した。その直径はそのアルキル置換基がエチルからプチルに行くにしたがって、約12Åから16Åに大きくなることを見だした。この直径は半経験的量子化学的計算プログラムを用いて計算して出した結果と殆ど一致することを見だした。このカラムナー内にはカラムを安定化するために、螺旋構造のポリマーが充填されていることを計算機でも確かめることが出来た。 生成したポリアセチレンのエステルに真空下、ガンマー線を30分間照射したところラジカルの生成(ESR法で確認)と共に分子量が大きく低下すること(GPCで確認)を見いだした。これは、目的の新規ポリマーが予想通り、ポジ型のレジスト材料として働いていることを示しており、実験計画が正しかったことになり、今後の発展が大いに期待できる。これらの興味ある研究成果は1998年7月のオーストラリアで開催された国際学会:IUPACMACRO'98で発表した。 平成10年度は生成したポリマーの薄膜をスピンコート法により作成し、その高次構造の観察を原子間力顕微鏡を用いて試みた。その結果、巨大なハニカム構造が二次構造として形成されていることを新しく見い出した。
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