研究課題/領域番号 |
09876010
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
水野 雅史 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (00212233)
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研究分担者 |
芦田 均 神戸大学, 農学部, 助手 (90201889)
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キーワード | ジャガイモ / アスコルビン酸 / アスコルビン酸ペルオキシダーゼ / 低温ストレス / 活性酵素 / 過酸化水素水 |
研究概要 |
光合成器官におけるアスコルビン酸の機能については、光・酸素ストレスによって生ずる活性酸素の消去に必須の役割を果たしていることはよく知られている。しかしながら、光合成と関係のない組織であるジャガイモの塊茎にも、かなりの含量のアスコルビン酸が含まれているが、その機能についてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、非光合成器官でのアスコルビン酸の機能を解明するため、アスコルビン酸含量の異なる2品種のジャガイモ(高アスコルビン酸含量の品種“キタアカリ"とその親で通常のアスコルビン酸含量である“男爵")を用いて、ジャガイモの貯蔵に頻繁に用いられる低温貯蔵および対象として常温貯蔵中でのアスコルビン酸含量と活性酸素消去酵素群の挙動を調べた。 低温貯蔵(5℃)および常温貯蔵(20℃)両区においてアスコルビン酸含量は顕著に減少したが、その度合いは低温貯蔵区において急激であった。このことから、低温貯蔵区では低温ストレスがかかりそれによって活性酸素が発生し、それを消去するためにアスコルビン酸が消費されたと考え、アスコルビン酸を電子供与体として過酸化水素水を消去するアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(SPx)活性を測定したところ、高アスコルビン酸含量の“キタアカリ"では経時的にその活性は上昇したが、“男爵"では、一旦上昇した後に減少するといった異なった傾向が認められた。この現象は、既にAPxがアスコルビン酸含量によって影響されるという報告と一致しており、低含量の“男爵"では、閾値に達した時点で活性が低下したを考えられた。また、APx mRNAの発現をノーザン法を用いて検討したところ、低温ストレスによって誘導されていることが判明した。これらのことより、ジャガイモを低温貯蔵した際、低温ストレスにより過酸化水素水が生成し、それを消去するためにアスコルビン酸が電子供与体として機能していることが明らかとなった。
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