本研究は、アミンを代表例としてキラル溶媒和法による有機化合物の光学純度および絶対配置の非経験的決定法の確立を目的とする。軸性キラルカルボン酸(MNCB等)-isopropylamineの塩(1:1)について、NMRの各種測定および分子力場計算を行い安定配座を解析すると共に、試薬の最適化も同時に進める予定である。 9年度の研究結果として、 1.以下の軸性キラルカルボン酸の調製した。 a)アミンに対面する芳香族環をベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン等に変えた軸性カルボン酸 b)アミンに対面する芳香族環(主にナフタレン環)の置換基(主にメトキシ基とメチル基)の位置および種類を変えた軸性カルボン酸 2.上記のとカルボン酸とisopropylamineの塩(1:1)について、^1HNMRを測定した結果、1-(1-pyrenyl)-2-naphthoic acidの場合、0.02M重クロロホルム溶液で、isopropylamineのジェミナルメチルプロトンがδ-0.12およびδ-0.17に現れ、ピレン環の遮蔽領域にアミンが存在することが明らかになった。
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