研究概要 |
本年度は木材・木質材料を油熱処理した場合の強度性状と破壊の起点となる傷付け処理の影響について検討した。供試材はスブルース材と市販のパーテイクルボード(PB)、中質繊維板(MDF)、合板である。供試材は温度加20℃,RH65%で調湿した気乾材である。油熱処理(温度:50〜200℃)にはパームオイルを用いた。油熱処理を行った材については発熱量の測定、破壊面の走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った。傷付け処理用治具には円、四角、三角、球を用いた。結果の概要は次の通りである。 1.150℃・2時間の油熱処理で各供試材の厚さ収縮率はほぼ一定になり、供試材はほぼ全乾状態になっていると思われる。2.200℃・2時間の油熱処理では供試材はほぼ全乾状態になっているので、曲げヤング率は無処理の気乾時の値より大きな値を示したが、全乾時の値と比べるとPBは約15%、MDFは約20%低下した.スプルース、合板ではほとんど低下しなかった。曲げ強さはスプルースだけが無処理の気乾時の値より大きな値を示したが、PB、MDF、合板は気乾時の値より低下した(気乾時の値に比べて、PBとMDFは約43%、合板は約25%低下した)。3.PB、MDF、合板とも油熱処理温度100℃の時に最も高い重量増加率(吸油率)を示した。4.熱油処理によってスプルース材は15%、PB、MDF、合板は約23%発熱量が増加した。無処理材で最も発熱量が高かったのはMDF(4994cal/g)であった。5.傷付け治具による荷重めり込み量曲線では四角が最も高く、ついで円、三角、球の順であった。6.曲げ強さはめり込み量の増加で低下したが、治具のタイプの違いは見られなかった。しかし、めり込み荷重では、治具のタイプの違い違いが認められ、三角が荷重は最も少なかった。
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