研究概要 |
マイワシやサンマの産卵場を流れる黒潮は,1日に100km以上の速さで卵や仔魚を東方へ輸送する。房総半島沖の黒潮続流域は本州中西部沖から運ばれてきた仔魚の生育場として重要であることが分かったので,この海域の仔魚にとっての餌環境を1993年と1994年について調べた。黒潮続流北側の海域は南側に比べて餌密度が有意に高く,また既に昨年度報告した黒潮域よりも高かった。したがって,この海域は仔魚にとって良い生育場となると考えられた。しかしこの海域におけるクロロフィルやノープリウス幼生密度は,1993年に比べて1994年で有意に高く,仔魚にとっての餌環境の経年変動が大きいことを示唆した。したがって,黒潮続流北側の黒潮親潮移行域へと運ばれた仔魚の成長・生残過程は,この海域の低次生産に左右されて変動する可能性があることが分かった。 海域の餌密度や生産力と仔稚魚の成長との対応を解析するための,仔稚魚の成長データの解析が進んだので,これまでに蓄積した上記デー多糖を参照しつつ,生産力推定法をまとめる。
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