生体電位を農産物の鮮度指標として利用することを目的として、恒温層内で数種の青果物の生体電位を計測し、以下の知見を得た。 1.装置は高入力インピーダンスを持つオペアンプを用いた自作の12チャンネルの生体電位測定装置で、入出力特性は直線性が非常に高く、また、出力の時問的変動も少なかった。 2.青果物一個体の部位による電位の変動は明確でないが、トマト、キュウリ及びキウイ、サツマイモの前2者と後2者とでは電位の変動周期が著しく異なり、生体電位はキウイ、サツマイモでは他2者に比べ非常に短い周期を示した。これは青果物の表面性状の違いによるものと考えられる。 3.青果物(トマト、サツマイモ)の裂傷、刺傷により、生体電位は大きく変化し、生体電位を利用して傷の発生を検知できることが明らかとなった。 4.貯蔵温度が変化するとこれに追随して生体電位も変化するが、貯蔵後期は前期に比し、反応は鈍化した。以上のことから、生体電位を計測することで、貯蔵適温からの温度の変動を検知し、これをフィードバックして温度制御をすること、また、刺激に対する反応速度から鮮度や出荷適期を予測できる可能性があることが示唆された。 5.青果物の呼吸速度が急激に変化すると、生体電位は呼吸速度曲線と同様に急激な変化を示すことを見出した。この生体電位変化の現象を利用して、とくにクライマクテリック型の青果物の急激な呼吸変動の予測を行うことを検討中である。
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