リンパ行性癌転移機構の解明を目指した細胞生理学的萌芽研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09877008
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 教授 (80020832)
• キーワード: 遺伝子導入マウス / マウス腸間膜 / 腸間膜リンパ管 / 生体顕微鏡システム / リンパ動態 / 内径変化測定システム / 心臓様リンパ管拍動 / ATP依存性K^+チャネル

研究概要

遺伝子導入実験動物マウスの腸間膜リンパ管生体顕微鏡システムの開発
能動的なリンパ輸送機構の一つとしてリンパ管平滑筋の自発性収縮による心臓様ポンプ作用が知られている。また最近、遺伝子導入などでリンパ行性癌転移を発生しやすくした実験動物モデルの作製が可能となり、こうしたマウスを用いたリンパ管動態についての研究が出来るようになってきた。そこで我々は、生体顕微鏡を用いてマウス腸間膜リンパ管の挙動をin vivo条件下で経時的に観察できる実験システムを開発した。
4〜7週齢のDDY系マウスを麻酔後、保温プレート上で開腹して、小腸の一部を体外に取り出し、リンパ管を含む腸間膜を観察窓上に広げて、その表面をKrebs液で灌流しながらリンパ管の挙動を顕微鏡下で観察できるシステムを開発した。またその内径の変化をビデオ画像より自動的に連続して計測する装置もあわせて作製した。
その新装置を用いて実験した結果、対照群のマウス腸間膜リンパ管には、振幅が小さく毎分約13回の自発性収縮が観察された。また一部の対照時自発性収縮消失標本でもnoradrenarineやtetraethyl anmmoniumなどの薬物投与で自発性収縮が誘起されることが観察された。

研究成果

• [文献書誌] Tan Y.: "Basic fibroblast growth factor-mediated lymphangiogenesis of lymphatic endothelial cells isolated from dog thorauc ducts : Effects ofheporin" Jpn.J.physiol.48. 133-141 (1998)
• [文献書誌] Igarashi, T., Ikomi, F., Ohhashi, T.: "Electrical stimulation induced α_1-and α_2-adrenoceptors-mediated contraction in isolated dog thorauc ducts" J.Auton.Neav.Syst.71. 18-24 (1998)
• [文献書誌] Nojiri, H., Ohhashi, T.: "Immunolocalization of nitric oxide synthase and VFGF receptors in cuifured lymphatic erdothelial cells" Microciraelation. in press. (1999)
• [文献書誌] Mizuno, R., Ohhashi, T.et al.: "ATP-sensitive K-channels may medirte spontaneous contractions of isolated aat lymph miorovessels" Jpn.J.Physiol.48. S61 (1998)
• [文献書誌] Ono, N., Ohhashi, T.et al: "A new intravital microslopic system for evaluating mice lymphatic beat activity" Jpn.J.Physiol.48. S60 (1998)
• [文献書誌] Arai, F., Ohhashi, T.: "Effects of vasular endothelial growth factor(VEGF)on Ca^<2+>-transients in cultured lymphatic endothelial cells" Jpn.J.Physiol.48. S60 (1998)
• [文献書誌] 大橋俊夫: "‐運動とリンパ循環制御‐活性酸素と運動" 共立出版(井上正康編)、東京, 200 (1999)