研究概要 |
ニポウ式共焦点装置の光学的改善の検討 共焦点顕微鏡は深さ方向(Z軸)にも光学的分解能をもつため、従来の光学顕微鏡にくらべより高い空間分解能で観察することができる。しかし、現行のガルバノ式共焦点顕微鏡では、1光源をX,Y軸にミラーで走査するため1画面を得るのに1〜2秒を要する。多光源方式のニポウ式共焦点顕微鏡は、高速で1画面を得ることができる。しかし、ニポウ式共焦点顕微鏡は多光源方式のため光学的改善が必要である。 1.光利用効率 ニポウ式共焦点装置は、約2万個のピンホールを形成したディスクを高速で回転させXY両軸を同時にスキャンするため、励起光のArレーザーは平行光となり光量が著しく低下する。これを解決するため2万個のピンホールの前に2万個のマイクロレンズを付加することにより、入射光量と出射光量の比である光利用効率がピンホールのみ約2%からマイクロレンズ付きで40%と約20倍改善された。 2光軸方向の分解能の検討 光軸方向の分解能を蛍光ビーズを用いて検討した。直径2.8μmの蛍光ビーズが6枚のスライス像として観察でき、このシステムが蛍光試料に対し約0.5μmの光軸方向の分解能をもつことがわかった。 3拍動心筋細胞のCa^<2+>動態の高速観察 胎児心由来の心筋細胞は、自動拍動を有する。イメージ・インテンシファイヤー付き高速CCDカメラを使用し、自動拍動時の心筋内Ca^<2+>動態の高速観察を検討した。4ミリ秒ごとの画像取り込みで、拍動心筋細胞のCa^<2+>動態を観察することができた。 まとめ 2万個のピンホールの前に2万個のマイクロレンズを付加することにより、光利用効率が改善され、4ミリ秒ごとの画像取り込みで、拍動心筋細胞のCa^<2+>動態を観察することができた。
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