研究概要 |
ニポウ式共焦点顕微鏡による拍動時の心筋細胞Ca^<2+>動態の高速観察 光学的改善をおこなったニポウ式共焦点顕微鏡を用いて、成獣ラット心筋細胞におけるCa^<2+>wave、sparksおよび電気刺激時の細胞質と核内と核内のCa^<2+>変化を記録、解析して、拍動時の核内Ca^<2+>動態について検討した。 方法:ニポウ式共焦点スキャナニットを倒立顕微鏡に取り付け、高速CDビデオカメラを用いて画像データをデジタル記録した。画像データの解折をNIH-Image1.62(NIH)で行った。Ca^<2+>蛍光指示薬Fluo-3(10μM,Molecular Probe)を用いた。Ca^<2+>とCa^<2+>sparksは、静止時の心筋細胞に自然に生じたものを記録した。また、電気フィールド刺激で心筋細胞の拍動をを誘発した。 結果:電気刺激時の心筋細胞における細胞質および核内Ca^<2+>の超高速画像化(4 msec/full frame)に成功した。電気刺激時の心筋細胞における核内Ca^<2+>の変化は、上昇相、下降相ともに細胞質Ca^<2+>より遅れて変化し、さらに上昇相で2相性(急速相と緩除相)を示した。核内Ca^<2+>上昇相の緩相から下降相にかけてFickの拡散モデルと一致した。またこのモデルの拡散係数を大きくしたとき、急速相も拡散モデルと一致した。核に沿って伝播するspiral Ca^<2+> waveによって生じた核内Ca^<2+>上昇は、核内膜からのCa^<2+>上昇は、核内膜からのCa^<2+>放出を誘発せず、核内を伝播しなかった。さらに、静止時の心筋細胞の細胞質でみられるCa^<2+>sぱrksは、核内では観察されなかった。 考察:電気刺激時の心筋細胞にける核内Ca^<2+>の変化は、細胞質Ca^<2+>が核孔を介して拡散により移動するためと考えられた。また、核内Ca^<2+>の上昇相の2相性から、核孔のCa^<2+>透過性が細胞質のCa^<2+>濃度によって制御されていることが示唆された。また核内にはCa^<2+>放出部位は存在せず、核内におけるCa^<2+>の移動は、細胞質におけるCa^<2+>waveの伝達とは異なり、拡散であることが示された。 まとめ:本研究により、ニポウ式共焦点顕微鏡による心筋細胞内Ca^<2+>動態の高速観察法を確立した。
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