研究概要 |
小Maf群蛋白質は二量体形成とDNA結合に関わるbasic region-leucine zipper(b-ZIP)構造を持ち,ホモ二量体,もしくは,CNC群,Bach群,Fos群蛋白質とヘテロ二量体を形成して,DNAの結合する.これらb-ZIP構造をもつ転写因子間に形成されるネットワークは細胞の増殖,分化において重要な機能を果たしていることが,これまでの様々な解析から示唆されている.我々は,先に,小Maf群蛋白質であるMafKが赤血球系細胞の分化を促進することを見いだした.この結果から,小Maf群蛋白質を形質転換細胞の分化誘導をもたらす因子として利用することを考え,現在以下の研究を進行させている. 1.まず,正常な細胞分化の過程での効果を調べるため,MafKを組織特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスの作成している.現在,Tリンパ球で過剰発現するトランスジェニックマウスを作成し,免疫学的,血液学的,組織学的解析を行っている.今後,赤血球系,巨核球系などでの過剰発現を試みる予定である. 2.ついで,形質転換細胞におけるMafKの効果を調べることを予定している.このために適切な腫瘍由来の培養細胞株を検討中である. 今後はこれらのマウスの作成と解析を行い,さらに,形質転換細胞における分化誘導の効果を検討する予定である.
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