GCFは転写抑制蛋白質として報告されたが、今年度の我々の研究から、その構造に複数の間違いがあることが明らかになった。5'RACE(Rapid Amplification of cDNA ends)法によりGCFの5'末端を再検討したところ、報告されている塩基配列とは全くことなる31塩基対よるなる新しcDNAを見い出すことができた。報告されているGCFは、そのcDNA5'側約300塩基対は3'側約2500塩基対との人口的なハイブリッドGCFであると考えられる。現在までのところ両cDNAとは全く関係のないcDNAと考えられ、cDNAライブラリー作成時に起こるア-テファクトと考えられる。また、報告されてGCFの787番目のTは実際には存在しないことがRT-PCRを用いた実験から明らかになった。 GCFに特異的に結合する蛋白質として、我々は、D40蛋白質を報告している。この新しいヒト蛋白質に関して以下の様な知見を得た。クローニングしたD40のcDNA全長をT7プロモタ-の下流にサブクローニングしてIn vitro transcription/translationを行わせるとSDS-PAGE上で分子量約120から150kdaの間に2つのバンドが認められた。D40蛋白質の転写活性化能を検討するために、Ga14のDNA結合ドメインとD40との融合蛋白質を発現させるプラスミドを作成し、これとGal4の結合部位と持つレポタ-プラスミドとをCos細胞に導入した。その結果、Gal4のDNA結合ドメインとD40との融合蛋白質は転写活性化作用を示さなかった。
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