GCFは転写抑制蛋白質として報告されたが、昨年度の我々の研究から、その5'末端構造に間違いがあることが明らかになった。また、報告されているGCFcDNAの787番目のTは実際には存在しないことがRT-PCRを用いた実験から示唆された。今年度はさらにこれを確認するために、A431細胞や正常白血球などの複数の細胞からのmRNAを用いたRT-PCRとその産物の塩基配列の決定を行った。その結果、複数の細胞からのcDNAの787番目のTは存在しないことが確認された。また、ゲノムDNAの塩基配列を決定したところ、cDNAの787番目のTに相当する塩基はゲノムDNAにおいても確認されなかった。さらに、cDNAの一部に114塩基対からなる新しい配列が存在するという予備的な実験結果をえている。 GCFに特異的に結合する蛋白質として、我々は、D40蛋白質を報告している。この新しいヒト蛋白質に関して、今年度は以下の様な知見を得た。D40蛋白質の細胞内の局在を検討するため配列、D40のN末にtag(FLAG)を付加した蛋白質を発現するプラスミドを作成した。これをCos細胞に導入して、抗FLAG抗体を用いた間接免疫蛍光法を行い、D40蛋白質の細胞内局在を共焦点レーザー顕微鏡にて検討した。その結果、D40蛋白質の大部分は細胞質に存在することが示された。
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