GCFについては、昨年までに以前に報告されたこの遺伝子cDNAの塩基配列に複数の誤りがあることを見い出した。修正したcDNAは2661個の塩基対からなり、781個のアミノ酸をコードすることができる。またin vitro transcription/translation及び特異抗体を用いた細胞抽出液のwestern blot法による解析から、修正された本来の蛋白質は約110kdaの分子量を持つことが明らかになった。この蛋白質については、GCに富む塩基配列特異的なDNAへの結合活性は示さず、転写因子であること肯定する実験成績が得られていない。 GCF結合蛋白質であるD40については、D40遺伝子のヒト染色体上の局在については、FISH法により、15q14-15に存在することが明らかになった。また、D40mRNAの発現は組織特異的であることが明らかになった。即ち正常ヒト各組織由来のmRNAを用いてノーザン法を行ったところ、精巣においてのみ強い発現が認められた。その他の組織については、纔に発現している胎盤を除いて、D40の発現は全く認められなかった。また、D40mRNAの発現は種々のヒト癌において認められることが明らかとなった。
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