研究課題/領域番号 |
09877048
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
竹屋 元裕 熊本大学, 医学部, 助教授 (90155052)
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研究分担者 |
坂下 直実 熊本大学, 医学部, 助手 (90284752)
宮川 和久 熊本大学, 医学部, 助手 (00244111)
高橋 潔 熊本大学, 医学部, 助手 (70045631)
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キーワード | スカベンジャー受容体 / マクロファージ / 遺伝子欠損マウス / 生体防御 / リステリア感染 / 肉芽腫 / Corynebacterium parvum / 免疫組織化学 |
研究概要 |
1.マクロファージスカベンジャー受容体(MSR)の生体防御に於ける役割を明らかにするため、三量体形成に必須であるMSR遺伝子の第4エクソンを破壊し、MSR欠損マウスを作製した。このマウスに致死量のリステリア菌を投与すると、投与14日後の生存率は、野生型マウスが70%以上であったのに対し、MSR欠損マウスでは10%以下で、リステリア感染に極めて弱いことがわかった。この際、MSR欠損マウスの血中からの菌のクリアランスは野生型マウスと変わりがなかったが、肝や脾における生菌数がMSR欠損マウスで有意に多く、マクロファージによる菌の取り込みや殺菌の障害が示唆された。 2.MSR欠損マウスにCorynebacterium parvumを尾静脈投与し、肝肉芽腫の形成過程を観察すると、投与後10日目までは、野生型に比べ、MSR欠損マウスでは肉芽腫の数が少なく、大きさも小さく、肉芽腫形成の遅延が見られた。この時期に一致して肉芽腫内のF4/80陽性マクロファージおよびER-MP20/ER-MP58陽性マクロファージ前駆細胞数の有意の低下が観察された。菌投与後の肝におけるlL-1の発現は欠損マウスと野生型マウス間に差を認めなかったが、MCP-1、TNF-α、IFN-γの発現は欠損マウスで遅延が認められた。MSR欠損マウスでは肝肉芽腫形成が遅延することから、MSRが肝肉芽腫形成過程において、MCP-1、TNF-α、IFN-γなどのサイトカインの発現を促し、これを介して単球の動員ならびにマクロファージへの分化や活性化に関与することが推察された。 ヒトにおけるMSRの役割を解析するため、ヒトMSR合成蛋白を抗原として、MSR欠損マウスを免疫することによって5種のモノクローナル抗体の作製に成功した。これらの抗体を用いて、免疫組織化学的検索を施行すると、全身の諸臓器に分布するマクロファージにMSRの局在が観察された。
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