研究概要 |
大腸癌細胞株COLO 201を用いて、サイトカインによるFasの発現誘導と抗Fas抗体による治療の可能性を検討した。TNF-αまたはIFN-γをCOLO 201にin vivoで投与することでCOLO 201にapoptosisを誘導し、両者を同時に用いることでさらに高率にapoptosisを誘導可能であった。TNF-αまたはIFN-γによるFasの発現増強も認められ、抗Fas抗体を併用することでより高率にapoptosisを誘導できた。このときのBcl-2とBaxの発現を検討し、apoptosis誘導の機序について検討した。apoptosisに陥ったCOLO 201が増加するにしたがってBcl-2の発現低下、Baxの発現増強が認められ、サイトカインによるCOLO 201のapoptosis誘導はBcl-2の発現低下とBaxの発現増強によると考えられた。 次に、抗癌剤である5FUとIFN-γの併用効果について検討した。5FUとIFN-γはそれぞれ単独でも濃度依存性にCOLO 201にapoptosisを誘導可能であったが、両者を併用することでより高率にapoptpsisを誘導可能であった。この時のapoptpsis誘導の機序について、Bcl-2,Bax,bcl-xのmRNAレベルと蛋白レベルでの検討を行った。Bcl-xの発現に変化はみられなかったがBcl-2の発現低下、Baxの発現増強が認められた。 サイトカインの併用やさらに抗Fas抗体を加えること、またサイトカインと抗癌剤の併用で高率よく、癌細胞にapoptosisの誘導が可能であった。Apoptosis誘導の機序に関してはBcl-2の発現低下、Baxの発現増強が考えられた。
|