(1)遺伝子ライブラリーの作成;セパシア菌臨床分離株PCJ1株よりDNAを分離精製し、Sau3Aによる部分消化の後20-30kbのDNA断片をショ糖密度勾配により分離し、コスミドベクターpLA2917をもちいて大腸菌S17-1株を宿主菌とする遺伝子ライブラリー(2000クローン)を作成した。 (2)大腸菌でのスクリーニング;作成したライブラリー(S17-1株)を様々な濃度のクロルヘキシジン(以下CHX)と50μg/mlのApを含むLB培地上で生育させることでCHX耐性遺伝子のスクリーニングを行ったが、CHX耐性を獲得したS17-1株を得ることはできなかった。 (3)大腸菌からセパシア菌CHX感受性変異株への接合系を用いたスクリーニング;大腸菌ではセパシア菌の遺伝子発現の効率が低い可能性、あるいは、複数の遺伝子の発現を同時に必要とすることが考えられた。そこで、既に分離してあったセパシア菌CHX感受性変異株を利用してCHX耐性遺伝子のクローニングすることを試みた。方法としては、コスミドベクターpLA2917の接合伝達能と広宿主域性を利用し、CHXを含むLB培地上で各S17-1株クローンとセパシア菌CHX感受性変異株の接合を行い、CHX感受性変異株のCHX耐性を回復させるクローンをスクリーニングしようとするものである。しかし、接合の効率が低く本格的なスクリーニングには至らなかった。 (4)セパシア菌CHX感受性変異株への形質転換系を用いたスクリーニング;これまで、様々な条件下で接合を試みたが、その効率を上げることができなかった。そのため現在、セパシア菌において使える数少ない耐性マーカーであるCp耐性遺伝子をもつ広宿主域プラスミドベクターを用いて新たなライブラリーを作成し、セパシア菌CHX感受性変異株への形質転換によりCHX耐性遺伝子をクローン化することを試みている。
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