Chlamydia(C) pneumoniaeは、呼吸器感染症の起因菌として注目されている第三のクラミジアであるが、近年では動脈硬化症や自己免疫疾患との関連も注目されている。今回我々は、C.pneumoniaeでの持続感染機構と各種サイトカインによる感染排除機構の解明を目的としてC.pneumoniaeのHEp-2細胞感染系を用い、リンホトキシン(LT)など各種サイトカインや免疫抑制剤FK506の影響をin vitroで検討した。 96穴プレートで培養したHEp-2細胞にTW183株を感染させた。LTの添加を感染前8時間と感染後8時間毎に24時間まで行った。EBへの直接的影響も検討した。また、感染後LT処理によるnitric oxide(N)の産生を測定し、同時に感染抑制率を検討した。感染への影響は封入体数(IFU)の比較により検討した。 LTは、10U/mlの濃度で90%近い感染抑制を示した。LTの作用は感染後8〜16時間で最も強く、濃度依存的であった。また、LT遺伝子をトランスフェクトしたLT高発現細胞においても強い感染抑制が認められた。さらにLTの投与によりnitric oxide(NO)の産生およびNF-κBの誘導が認められ、NO産生を介した感染抑制機構が示唆された。事実NOインヒビ夕一の添加により、LTによる抑制作用は著しく低下した。LTのNO誘導能によりC.pneumoniae感染の抑制作用があると考えられた。FK506も50%以上の感染抑制を示した。一方、IFN-α、-β、G-CSFの投与では変化がなかった。ステロイドの3剤はいずれも封入体数は1.8〜2.5倍の増加を認め、一方、トラニラストとセラトロダストは64μg/ml以上の濃度でC.pneumoniaeの発育を完全に阻止した。また、塩酸エピナスチンとプランルカスト水和物は、いずれの濃度においてもC.pneumoniaeに影響を示さなかった。
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