研究概要 |
幸にして先の萌芽的研究については原著論文がJ.Chromatogr.B.1997;695;237-244.に掲載された。また今回の萌芽的研究についてもMutation Research 1997;395;151-157にオウム集団がサリン被曝時に同時に用いたN,N-ジエチルアニリンのSCE増加作用について発表した。またToxicol.Letts.にサリン被曝時に同時に被爆されたと考えられるジアルキルメチルホスホン酸のSCEに関する知見も投稿中である。更には、サリン副生成物については、アセチル・コリンエステラーゼの阻害作用もある事を我々は見出した(中毒研究1997;10;48-58.)。とくに、今回頂いたクリーン・ベンチのお陰でMut.Res.やToxicol.Letts.に論文を投稿できたことは、大変に有り難いことであった。現在サリン生成時の副生成物であるジアルキル・メチルホスホン酸が発癌抑制のモニターとして働くNK細胞やサイトトキシック・T細胞にどのように働くかを検討中である。さらには、現在進行中のin vivoのヒトについての研究ではSCEの頻度が被曝者には圧倒的に高いことが見出されつつある。被曝から3年を経てもそのような事が有るのではまだサリン及び副生成物へのヒトへの問題からは、手を引けないということである。この問題についてはさらに科研費を申請しているが是非もう一度これをあてて頂きたい。審査者の社会医学的センスに期待する。
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