研究概要 |
保健所単位で、脳卒中情報システムを管理している島根県では、平成6年〜8年に3,185例の発症登録があり、退院登録は1,146例に実施されていた。初発脳卒中855例中、老人の日常生活自立度判定基準のB,Cランクは、18.6%で、自立のJランクが67.3%と軽度の脳卒中が多かった。退院時に症状が軽快した例が、71.8%であり、在宅に戻っても日常生活動作を維持し、脳卒中の再発を予防することが課題である。 医療機関との連携の不足や脳卒中登録への患者のインフォームドコンセントの不十分さなどにより、脳卒中の発症を完全に把握している保健所は少なかったが、年1回保健所単位で開催されている脳卒中等情報システム調整会議により、登録への協力体制が整いつつある。この会議には、医療機関と市町村の医師、看護婦、保健婦、ケースワーカーなどの専門職が参加しており、会議の成果として、各市町村福祉サービスの一覧表が作成されたり、地域リハビリ体制の充実など、地域ケアを推進する場となっている。 脳卒中発症率が、人口10万対222で、ほぼ脳卒中を完全把握している1保健所の平成8年の退院登録101例の6ヶ月後の追跡調査を実施した。退院時52.4%が在宅であったが、6ヶ月後には、48.5%に低下しており、特にCランクでの在宅は2例から0になっており、介護負担や介護の長期化などへの対応が必要である。 月2回ケアカンファレンスが町村単位でもたれており、脳卒中情報システムを活用して、在宅ケアがスムーズに実施できるように病院との連携がとれはじめているが、専門職間の情報の共有化が課題としてあげられた。
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