生後3日、1、2、4、6、8週、4、6、9、15ヶ月の近交系マウス(C57BL/6)の腎由来のtotal RNAを用いた蛍光ディファレンシャルディスプレイ(FDD)法により、年齢特異的発現パターンを示すcDNAを計10個見い出し、これらすべての塩基配列を決定した。配列に基づいて合成したprimerを利用し、comparative RT-PCR解析を行ったところ、10個中3個の転写物では年齢特異的発現パターンは認められなかった。DNAデータベース(BLAST)によるホモロジー検索の結果、これらはribosomal proteinに由来することが示された。一方、残り7個ではFDD法と同様の年齢依存的発現パターンが得られ、4個はそれぞれmouse fibronectin、rat soluble guanylyl cyclase α1 subunit、mouse cytosolic aldehyde dehydrogenase、mouse mitochondrion genomeの一部とほぼ一致した。残りの3個(GeneBank AI482564-AI482567)に類似した配列はデータベース上に存在しなかったことから、これらは未知遺伝子の一部である可能性が示された。また、comparative RT-PCRの結果とPaqMan RT-PCRの結果との間に大きな差は認められなかった。以上の結果、FDD法とcomparative RT-PCR解析の併用による遺伝子発現の検索法は、年齢推定マーカーの開発に有用であることが明らかとなった。
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