(1) 3例のSLE患者及び1例の正常人骨髄血単核球をEBウイルスにてトランスフォームさせ、更にlimiting dilutionし、各々8株、6株のクローンを得た。これらのクローンの分化段階を知るために細胞表面CD10、CD19、VpreBをFACSで検索した。これらのクローンは全てCD19陽性であったが、CD10は陰性であり、immature B以降の成熟段階であると考えられた。VpreBはモノクロナル抗体が得られたので検討中である。 (2) (1)で得られたクローンの自己抗原に対する反応性を検討するための手段得るために、SLE患者末梢血単核球よりEBウィルスにてトランスフォームさせ得られた抗DNA抗体産生B細胞のDNA抗原に対する反応性を細胞表面HLA-DRの変化や^3H-thymidine uptakeを測定することにより検討した。抗原刺激あるいは抗IgM抗体刺激により、これらの指標は変化し、この方法で自己抗原に対する反応性を検討することが可能であると考えられた。 (3) SLE及び正常人B細胞におけるBSAPの発現の差違を比較する目的で、すでに樹立されているヒトpreB細胞株においてBSAPの発現量をgel shift assayにて検討した。ヒトpreB細胞株にグルココルチコイド添加することによりBSAPの発現量は変化を示した。またBSAPはこの方法により、他の因子と結合して複数の複合体を形成していることが推察され、細胞株によりこれに違いが見られた。この方法によりSLEや正常人骨髄B細胞のBSAP発現の比較をしている。 また正常人のgenomic DNAよりPax5をクローニングし、塩基配列を同定した。SLE骨髄由来B細胞のPax5をクローニング中であるが、この比較によりSLEにおけるPax5のmutationなどを検討中である。
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