研究概要 |
肝に対して高い親和性をもつ水溶性高分子であるpullulanを用いて、interferon(IFN)の肝へのtargeting治療の基礎的検討を行った。 1.IFN-pullulan結合体の作成 PullulanとMurine IFNおよびpullulanとhuman IFNの、physical bondingによる結合体形成を試みた。 高速ゲルクロマトグラフィーを用いることにより、結合体形成後には、各々のIFNの分子量が著しく増加することを観察し、結合体の形成を確認した。 2.マウスにおけるmurine IFN-pullulan結合体の効果 結合体の形成を確認したmurine IFN-pullulan結合体をマウスに静脈内投与投与してIFNの肝への集積性と生体作用を観察した。 2',5'オリゴアデニル酸合成酵素(2-5AS)は、IFNによって誘導される抗ウイルス作用を有する蛋白質である。Western blottingを用いて評価したマウス肝における2-5AS誘導は、murine IFN-pullulan結合体静脈内投与の方が、murine IFN単体の静脈内投与に比べ著しく強いことが確認された。 我々は、murine IFN-pullulan結合体のマウス肝における作用と同様に、human IFN-pullulan結合体がヒト肝で強い2-5AS誘導をもたらすものと考えている。 今後は、human IFN-pullulan結合体のヒトへの応用を検討していく予定である。
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