研究概要 |
「目的」昨年はエンドトキシン投与ラットにおいて、抗MIF抗体前投与は肺への好中球遊走を著明に抑制することを明らかにした(Am JRespir Crit Care Med 1998;158:573-579)。本年はその機序を解明するために、ラットの好中球遊走因子の一つであるmacrophageinflammatory protein-2(MIP-2)の関与を、気管支肺胞洗浄液中の解析とrMIFとマクロファージの関係から明らかにした。 「対象と方法」実験1.SDラットに非免疫ウサギIgG(コントロール)または抗MIF抗体を2時間前に投与し、次にLPS(7mg/kg)を腹腔内に投与した。その4時間後に気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、BAL液中のMIP-2濃度を測定した。実験2.SDラット5匹の肺胞マクロファージ(2×10^5 cells)を,無刺激、LPS(1ug/ml)、LPS+rMIF(10ng/ml)、LPS;rMIF(l00ng/ml)存在下に12時間培養し,上清中のMIP-2濃度を測定した。 「結果」1.抗MIF抗体はLPS投与によるBAL,液中のrMIP-2上昇を有意に抑制した(759+101(SE)vs253+62pg/ml,p<0.05)。2.LPS刺激によるマクロファージ培養上清中のMIP-2濃度上昇はrMIFの影響を受けなかった。 「結論」LPS投与ラットにおいて、抗MIF抗体による肺への好中球遊走抑制作用の一部はMIP-2を介したものである。しかし、in vitroではrMIFは肺胞マクロファージからのMIP-2産生を直接亢進する作用はない。
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