研究課題/領域番号 |
09877124
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
岩 亨 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60257665)
|
研究分担者 |
渡部 剛也 愛知医科大学, 医学部, 助手 (90278375)
本郷 一博 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (00135154)
|
キーワード | カテーテル / カテーテルアブレーション / 脳波 |
研究概要 |
予備実験としてヒツジ2頭を用い麻酔・人工呼吸コントロール下で、血管内電極カテーテルを頚部から挿入、X線透視下に前大脳動脈へ留置して高周波通電を行い焼灼した。3時間後に閉頭し標本固定後、病理医による病理組織学的検討を行ったが焼灼病変が見つからなかった。このため脳における焼灼病変がどのようなものかを確認する為、以後の実験を開頭に切り替えた。脳表及び上矢状洞にカテーテルを挿入して、50-60-70度の温度コントロール下で60秒焼灼を行った。 結果:焼灼後カテーテル電極から採取した脳波は、焼灼前に比べ波高が減高し徐波化が認められた。病理組織学的検討はH&E染色及びBodian染色を用いて行ったが、病変部では皮質を中心に出血を伴う壊死を認めた。また浮腫を伴う神経細胞の脱落、濃染、萎縮を認めた。周辺部では中心部の浮腫に伴って圧迫された細胞および核が球形に濃染する像が認められた。この部分は心筋を焼灼した際に出血する部分に対応していた。 考案:研究者らが開発し臨床応用を行ってきた心筋の焼灼では、傷害された心筋の染色法が確立し、傷害範囲をマクロ・ミクロ共に確定する事が容易であった。またカテーテルからの距離に応じて病変の性質が違うことも容易に検討が可能だったのに対し、脳では傷害された神経細胞の範囲を測定することは容易ではなかった。また脳波の波高が減少し明らかに神経細胞の傷害が予想されるにも関わらず、専門病理医による病変部検索は困難であった。したがって当初の脳深部焼灼を遂行する以前に、まずは、1.脳表の焼灼等による染色法などを含む傷害部位の検索法を開発、2.傷害を与えるために必要なエネルギー・温度などの検討がまず必要である一方で、3.焼灼自体は心筋焼灼用の器材をほぼ利用できることが、本年度の研究により明らかになった。
|