研究概要 |
AT1増殖シグナル伝達におけるRas/MAPK上流で活性化される上皮成長因子受容体の役割 アンジオテンシンII(AngII)は1型受容体(AT1)を介して強力な細胞増殖促進作用を発揮し心血管再構築や動脈硬化巣形成に深く関与する。私達は血管平滑筋細胞・心筋由来線維芽細胞を用いてAT1による細胞増殖・DNA合成・MAPK活性化にはPLC活性化に続くPKCでなく、Ca^<2+>/calmodulin系を介したチロシンキナーゼが重要であることを見いだした。さらにはAT1刺激によるMAPK活性化の上流でRas-GDPからRas-GTPへの変換が行われ、Shcも燐酸化されており、そのSchには上皮成長因子受容体(EGF-R)がassociationしていることを見いだした。特異的EGF-R拮抗薬やEGF-Rのdominant negative変異体はAT1刺激によるMAPK活性化を完全に抑制した。これはAT1によるMAPK活性化にはEGF-Rの共役活性化過程を介する重要なシグナル伝達経路が存在することを意味していた。同様のEGF-Rの共役活性化はendothelin-1,norepinephrine,vasopressinでも観察され、Gq蛋白を介したMAPK活性化経路におけるEGF-Rの活性化が普遍的に関与するという興味ある結果が得られた。
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