研究概要 |
1.ドナーリンパ球輸注(DTL)を行った骨髄移植後EBV関連リンパ球増殖症候群(B-LPD)患者の経過観察:骨髄移植後のWiskott-Aldrich症候群(WBS)患者に合併したB-LPDに対しDLTを施行し1年半が経過したが、良好な経過を辿っている.血中IgM濃度は382mg/dlまで低下し,IgGは794mg,CD4は24.1%,CD8は41.8%であるが,CD40Lの誘導能は未だ不十分である.1)軽快の経過が極めて緩徐であること,2)増殖B細胞ドナー由来であること,からドナーのB細胞に対する細胞障害性T細胞(CTL)が患者体内で活発に働いている事を想定し,ドナーB細胞に対するCTLクローンの樹立を試みている.ドナーB細胞としてはEBVにより樹立されたドナー由来Bリンパ芽球用細胞株を使用した. 2.Dr.Kiefより分与されたLMP1遺伝子を含むpSV2gptMTLM-DNAを精製した.LMP1遺伝子C端近傍のシグナル伝達に重要な部位に点突然変異を入れた変異LMP1遺伝子を作成し,EBV陰性のB細胞下部にトランスフェクトし,薬剤耐性マーカーを用いてトランスフェクタントを選別中である. 3.CTLの標的細胞として,個相化IgM,IL-2およびIL-4で増殖を誘導したB細胞の使用を考えていたが,B細胞を長期安定に供給するには不安定な系であることが判明した.以降の実験ではEBVにより樹立された自己由来B細胞株をCTLの標的細胞とし,IL-2の存在下にCTL株を樹立することとした. 4.樹立したCTLクローンに野生株および変異LMP1を誘導し,LMP1に対する特異CTLクローンを作成する系を準備中である.
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