研究概要 |
本年度は、同意を得た血液透析患者10名にγリノレン酸を14ヵ月の長期投与し,安全性、自覚的な痒みの改善度、皮膚水分量の変化について検討した。研究計画 1. 投与開始から、1ヵ月ごとに血算、生化学検査を実施し、吐き気、嘔吐、腹満感、食欲、下痢などの自覚症状の有無をみて安全性を確認した。 2. 内服前を10として、1,2,3,14ケ月後の痒みの程度を10段階評価した。 3. モイスチャー・チェッカーを用いて、内服前、2、4、12、14ヵ月後に、4ヵ所の皮膚水分量を測定した。30倍拡大のビデオルーぺで同皮膚を観察し、写真撮影をした。 結果 1. 血液学的な異常を示した患者はいなかった。自覚的には、腹満感2例、下痢1例、便通がよくなる例が3例あった。 2. 痒みの程度は1ヵ月後には7.83、2ヵ月後には6.54、3ヵ月後には4.92と低下し、14ヵ月後にも痒みは半減状態が持続した。 3. 内服2ヵ月後、1年後、14ヵ月後には、ほとんどの症例、部位で、水分量は有意に上昇していた。 4. 不明瞭な皮野と粗造な角質が改善され、皮野が細かくなり、角質も減少した。 まとめ γリノレン酸には、血液透析患者の痒みを軽減させる効果があり、その作用機序の一つに、角層水分量の増加作用があることが示された。
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