本研究は細胞・基質間接着装置ヘミデスモソームに存在する分子、インテグリンα6β4の分子形態を解析し、他の構成成分との相互作用を調べることによりヘミデスモソーム構築に果たす機能を明らかにすることを目的として行った。具体的には次のような成果を得た。 1 ウシ乳腺由来のBMGE+H細胞の可溶性画分からのモノロ-ナル抗体を用いたアフィニティーカラム法で十分量の可溶性インテグリンα6β4分子を精製することに成功した。 2 単離したインテグリンα6β4分子を低角度回転蒸着法により、電子顕微鏡で分子形態を直接観察することに成功した。分子は球状部が二つ並んだ亜鈴形を呈していた。一次構造との比較から、ドメイン構造を解析中である。 ヘミデスモソームを単離した後の角膜基質にはインテグリンα6β4が残っていることを発見したので、これを基質に、可溶化した細胞質成分から相互作用するタンパク質を探した結果、500kDのタンパク質が弱いながらもインテグリンα6β4に結合するとのデータを得た。 4 共同研究により、以下の成果をあげた。 1)インテグリンβ4分子がHD1分子と相互作用することを明かにした。 2)ヒト大腸癌細胞において、インテグリンα6β4がHD1分子と挙動をともにすることを示した。
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