(1)測定条件の設定 生きた状態における皮膚内部構造の測定法として超音波断層法が存在する。しかし分解能が低いためμmレベルでの測定は不可能であり、目的とする表皮下面(真皮結合組織との境界面)を観察できない。そこで本研究では低コレーレンス光干渉装置(Optical Coherence Tomography)に着目し、本装置により皮膚が測定できるか否かを試験した。その結果、重層扁平上皮からなる表皮と真皮結合組織では光減衰率が大きく異なること、その変化点から両者の境界面を特定できることが判明した。また得られた値が正しいことを皮膚の組織標本により確認した。そこで表面と一対一に対応した表皮の三次元構造の再構築が可能となった。これにより正常な皮膚においては表面の細かい皺は表皮と真皮接合部に反映されることが判明したため第一報として投稿準備中である。 (2)臨床への応用 皮膚疾患では表皮の性状が臨床診断に重要な意味を持つうえ、たとえばステロイド長期投与による皮膚萎縮は表皮の厚さと下面の凹凸の消失をもたらすなど、疾患の状態を確認するためにも重要な情報である。そこでアトピー性皮膚炎と膠原病を対象に測定し、前者では表皮の肥厚が確認され、後者では罹病期間に比例して菲薄化することが確認された。これについては統計学的な処理を行なうために患者数を増やしつつある。
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