昨年度クローニングしたヒトHRFの遺伝子全長を一部改変しGST fusion vectorであるpGEX4Tに挿入、組み換え体としてHRFタンパクをバクテリアを用いて発現させ、グルタチオンカラムを用いて精製、回収した。一方リコンビナントタンパクとしたHRFは動物に免疫した。 本年度はHRFの細胞内の局在を知る目的で、各種培養ヒト細胞を用い染色を行った。皮膚線維芽細胞、表皮細胞、Hela細胞をスライドチャンバーないしはカバーガラス上で培養、固定した後、抗ヒトHRF抗体及び蛍光色素ラベルの二次抗体を用いて染色した。本年度の実験にもちいた抗体は、抗ヒトHRF抗体の市販が開始されたため、それを利用した。結果、何れの細胞にもHRFは蛍光抗体法で検出できる量が発現していた。HRFは蛍光顕微鏡下にて細胞質の核周辺部及び、細胞膜に染色された。何れの細胞でも同様で、分泌顆粒のごとき構造はとらず、HRFが細胞破壊、ないしはアポトーシスの過程で細胞外へ放出されるとの仮説を支持する結果となった。さらに詳細な分布を検討するため、現在これに加えてレーザー顕微鏡、及び電子顕微鏡による観察を追加し、成果の公表を準備中である。
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