研究課題/領域番号 |
09877166
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
玉木 長良 北海道大学, 医学部, 教授 (30171888)
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研究分担者 |
塚本 江利子 北海道大学, 医学部, 講師 (40201636)
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キーワード | emission tomography / FDG / tumor / glucose metabolism / glucose transporter |
研究概要 |
○本研究のテーマは、腫瘍モデルを作成し、PET製剤であるFDGの集積機序を解明すると共に、現在問題となっている非腫瘍性の炎症とどのように鑑別するかである。KDH-8肝癌をラットに移植した腫瘍モデルを作成した。あわせてテレビン油で作成した炎症モデル、ブドウ球菌、大腸菌を移植した感染巣モデルも作成した。各々のモデル動物にC-14標識フルオロデオキシグルコース(C-14-FDG)を投与した結果、すべての病巣にC-14-FDGの強い集積のあることが確認できた。またオートラジオグラフィも行い、病変部に瀰慢性の集積を呈していることも確認できた。 ○C-14-FDG集積機序を解明するため、病巣のヘキソキナーゼ活性を測定した所、腫瘍と共に性状の筋肉組織にも高い活性を認め、ブドウ糖の代謝の亢進していることが確認できた。あわせて凍結切片において膜の輸送遺伝子であるグルコーストランスポーター(GLUT)を免疫組織染色した所、腫瘍巣においてGLUTのtype1とtype2の発現が増加していたが、他のtype3-5は発現していないことが確認できた。 ○以上の結果より、この腫瘍モデルにおいてはC-14-FDGの集積が高いが、炎症や感染巣モデルにおいても同様の比較的高いC-14-FDGが見られており、臨床と同様C-14-FDGの集積だけからは腫瘍の鑑別診断に限界のあることが示唆された。この腫瘍モデルでは解糖系の酵素活性の増加と共に、膜のブドウ糖輸送遺伝子の発現が確認でき、C-14-FDG集積の機序が明らかとなった。最終年度には腫瘍巣と炎症巣でのC-14-FDG集積機序を解明すると共に、両者の鑑別法を模索する予定である。
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