研究概要 |
磁気共鳴映像法(MRI)による血液スピンラベリング法は造影剤を使用することなしに血液の血管内での移動を画像化できる優れた技術で,主として造影剤を用いない血液の組織灌流や血管撮影,脳などの機能検査に応用可能な技術である. 今年度は静磁場強度1.5Tの臨床用MRI装置において頭部コイルを用い、FAIR法およびEPI-STAR法を用いて組織の血液灌流の定量化を可能とする条件を基礎的実験によって検討を行うための拍動流で流速0-150cm/sec(内径8mmの管)が可能な流体ファントムを作成した。今年度は流体に脱気水を用いた。種々の撮像条件をほぼ同一とするとEPI-STAR法に比較してFAIR法の方が安定して流体からの信号が追跡された。現在臨床で使用されている細胞外液分布のGd製剤(血中半減期数10分)や今後臨床応用が予定されてる酸化鉄粒子造影剤(血中半減期数分〜数時間)を脱気水に混和させるFAIR法およびEPI-STAR法ともに追跡される信号強度は著明に改善された。来年度は至適撮影パラメータや流速や流量と追跡される信号強度の大きさの相関関係や流体の粘稠度の変化や酸素濃度の変化が追跡信号強度に及ぼす影響の検討およびFAIR法とEPI-STAR法の限界とその解決法の検討を予定している。さらに超音波検査との対比において正常者の脳における実際の血液灌流の定量化の検討行う予定である.
|