研究概要 |
脳内ストレス応答は一過性で可逆的な過程と考えられていたが,最近の強いストレス下で海馬に解剖学的損傷が起こることなどが画像研究により報告されている。この損傷過程にアポトーシスが関与しているかどうかを検討するために以下の検討を行った。 検討1 DNA断片化の検討 高齢ラット(100週令)に2時間の急性拘束ストレスを加え,ストレス後に断頭し,脳を取り出し,前頭前野,海馬,視床下部,小脳を切り出して液体窒素下で組織を粉末状とし,そこからDNAを抽出し,アガロース電気泳動にてDNAの断片化の有無を検討した。 ストレス負荷群でも,対照群でもDNAの断片化は検出できず,この方法で検出できるほど大量のアポトーシスは起こっていないことが明らかとなった。 検討2 組織内でのアポトーシスの検討 ラット及びストレスは検討1と同様に行った。断頭後の脳は凍結切片とし,これに対してin situ アポトーシス検討キット(Oncor社製)を用いて染色を試みた。ストレス群,対照群ともにわずかにアポトーシス細胞が染まるのみであり,明らかな群間の差を検討するにいたらなかった。 これらの結果をもとに,今後はストレス負荷を慢性ストレスとし,また,アポトーシスの検討にはパラフィン切片を用いてTUNEL法を試みて行く予定である。
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