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1998 年度 実績報告書

レトロウイルスcDNA発現ライブラリーによる未知のヒト白血病原因遺伝子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 09877205
研究機関東京大学

研究代表者

野阪 哲哉  東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (30218309)

研究分担者 北村 俊雄  東京大学, 医科学研究所, 客員助教授 (20282527)
キーワード白血病 / cDNA発現ライブラリー / レトロウイルス / STAT5 / 癌遺伝子
研究概要

我々はヒト白血病に関る未知の癌遺伝子をfunctional assayにて単離することを目的に、研究を開始した。まず、急性骨髄性白血病患者由来で第7染色体が片方欠落した(Mono-somy7)核型をもつ新規細胞株(中畑龍俊研究室で樹立)よりmRNAを抽出、レトロウイルスcDNA発現ライブラリーを作製し、IL-3依存性細胞株Ba/F3に遺伝子導入し、癌化責任遺伝子の単離を試みたが、現在までのところIL-3非依存性に増殖するcloneは得られていない。一方、我々は、PCR directed random mutagenesisとレトロウイルス発現システムを組合せて、マウスにおける転写因子STAT5の恒常的活性型を3種類、Ba/F3細胞を用いて同定した。興味深いことに、上記3種の恒常的活性型STAT5は、IL-3非依存性にBa/F3細胞を増殖させる反面、IL-3存在下では逆に、分化またはアポトーシスを誘導することが判明した。これらの表現型は、STAT5の下流の種々の遺伝子のうち、どの遺伝子が活性化されるかによって規定されていた。これらの実験系は、野生型のSTAT5の生物学的役割を考える上でも有用である。最近、ある種のヒト白血病はTEL-JAK2キメラ遺伝子形成によるJAK2の活性化が原因であることが報告されたが、種々のヒト白血病患者細胞におけるSTAT3、5の恒常的活性化は周知の事実である。したがって、STAT5のリン酸化が亢進している患者サンプルを解析し、その原因がSTAT5そのものの構造異常によるものなのか、STAT5より上流のシグナルが持続的にonの状態になっているためなのかを明らかにする目的で、患者細胞由来STAT5遺伝子をレトロウイルスを用いてBa/F3細胞において発現させ、IL-3非依存性に増殖するcloneが得られるか否か、検討中である。これまでのところ患者細胞由来のSTAT5遺伝子に突然変異は見つかっていない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nosaka,T.,et al.: "Identification and characterization of constitutively active STAT5" Molecular Biology of Hematopoiesis(Abraham NG et al.,eds. Plenum Publising Corp.). 6. (in press)

  • [文献書誌] Ohishi,M.,et al.: "Identification and characterization of a constitutively active STAT5A mutant that promotes cell proliferation" Mol.Cell.Biol.18. 3871-3879 (1998)

  • [文献書誌] Onishi,M.,et al.: "Cytokine receptors:Structure and signal transduction" Int.Rev.Immunol.16. 617-634 (1998)

  • [文献書誌] Sohn,S.J.,et al.: "Requirement for Jak3 in mature T-cells:Its role in regulation of T cell homecstasis" J.Immunol.160. 2130-2138 (1998)

  • [文献書誌] Morikawa,Y.,et al.: "Induction of synaptosomal-associated protein-23 Kd(SNAP.23)by various cytokines" Blood. 92. 129-135 (1998)

  • [文献書誌] Ihle,J.N.,et al.: "Jaks and Stats in cytokine signaling" Stem Cells. 15. 105-111 (1997)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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