研究課題/領域番号 |
09877224
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (70170636)
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研究分担者 |
安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (60125359)
佐々木 重幸 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10270787)
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キーワード | 人工血管 / 器質化 / 組織治癒 / Collagen / 抗Collagen抗体 / 抗α-Smooth muscle actin抗体 / metalloproteinase |
研究概要 |
[目的]病的血管に人工血管を移植した後の吻合部創傷治癒、器質化特性をCollagen動態、とくに抗Collagen抗体や抗α-Smooth muscle actin抗体、Spiraled Collagenとmetalloproteinase(MMP)発現の観点から検討して、人工血管の病的状態下での治癒特性の特徴を把握して吻合部合併症の発生予防のための資となすことを目的とした。[方法](1)病的血管に対する人工血管モデルとしてラット腹部大動脈に口径3mmの人工血管あるいは他家静脈を移植し、感染状態、拒絶反応状態の異常状態下の人工血管を作成する(2)移植後1〜7日の急性期および4週以降の慢性期に血管吻合部を含めて人工血管を摘出し、比色定量法によるTypel-V Collagenの測定と各タイプの抗Collagen抗体の発現を観察すると共に、人工血管の吻合部創治癒と器質化特性に関与する抗Collagen抗体、抗α-Smooth muscle actin抗体、MMPとの関連性を比較検討した。本年度はまず小口径人工血管(ePTFE,4mm径)を雑種成犬2頭の頚動脈(合計4本)と置換して経時的にこれを摘出し、吻合部を中心にCollagen type IおよびIIIと抗Collagen抗体および抗α-Smooth muscle actin抗体の発現を検討した。摘出期間は置換後1週、4週、16週目である。[結果とまとめ]人工血管は全例開存しており、4週以降では吻合部を中心に仮生内膜の形成が認められた。抗Collagen抗体および抗α-Smooth muscle actin抗体染色では4週および16週でとくに抗α-Smooth muscle actin抗体の発現が吻合部において強く認められた。吻合部治癒過程における平滑筋細胞の増殖が人工血管の器質化に関連していることが推測された。今後はMMPの発現とこれら抗Collagen抗体、抗α-Smooth muscle actin抗体との関連性を追求する予定である。
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