刺激された内皮細胞上に好中球を流すと内皮細胞に[Ca2+]iの上昇が見られるが、この内皮細胞の[Ca2+]i上昇を制御することは免疫炎症反応に基づく病態の改善に寄与するものと考え、この好中球「流れ」下の内皮細胞内[Ca2+]iの上昇に関与する接着分子の同定を試みた。 ヒト臍帯静脈内皮細胞をlipopolysaccharide(LPS:エンドトキシン)で4時間刺激し、flow chamberにセットして、好中球をハンクス液とともに流すと細胞内[Ca2+]i濃度の上昇がみられ、その反応はいくつかの細胞にのみ見られ、好中球の減少とともに減少し、刺激をしない細胞ではみられず、ATPなどのアゴニストによる非刺激の細胞全体にみられるような反応ではなく、活性化内皮細胞と好中球の相互作用に基ずく反応と思われた。 接着反応は活性化内皮細胞と好中球の代表的な相互作用であり、「流れ」におけるエンドトキシン刺激下での接着に関与するE-セレクチンの抗体を用いて実験を行ったところ、[Ca2+]i上昇反応抑制については実験毎に異なり、明確な結果は得られなかった。 次年度はL-セレクチンの抗体、β2-インテグリン、ICAM-1に対する抗体などを検討する
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