研究概要 |
霊長類動物におけるHVJ-liposomeに対する免疫応答の有無を検索するためにカニクイザルを用い、実験を行った(N=2)。HVJ(センダイウイルス)-liposomeは3種の脂質を混合させリポゾームを形成させ、有精卵に接種・精製したセンダイウイルスを融合させ作製した。HVJ-liposomeをカニクイザル下肢骨格筋に筋肉注射を行い、注射後1、3、7、14日後に血液を採取し抗HVJ-liposome抗体および血液生化学検査を行った。抗HVJ-liposome抗体はantibody capture assayにて行った。即ち、polyvinylchlorideプレートに100μlのHVJ-liposome(5000 hemmaglutinating unit/ml)液を加え、血清サンプルを加え、anti-rat IgGに結合したアルカリフォスファターゼを用い、測定した。陽性のコントロールとしてウサギをHVJで免疫し、血清を採取した。カニクイザルにおける抗HVJ-liposome抗体は10日目で最大値を示しその後は下降した。またこの最大値は陽性のコントロールとしてウサギの抗HVJ抗体値に比較すると、10000分の1に相当する値であり、抗HVJ-liposome抗体の産生は極めて低値であると考えられた。また血清学的な検査(GOT,GPT,ALP,LDH)では特に異変を認めなかった。以上より現段階では頭数は少ないが、霊長類動物におけるHVJ-liposomeに対する免疫応答は液性免疫の面では極めて微弱と考えられた。今後は実際に遺伝子を包理したHVJ-liposomeを用い、細胞性免疫の検討も必要である。
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