外科手術後の癌再発をいかに早く発見して治療するかは、今後、癌を克服していくための最も重要な課題である。肝細胞癌に対する肝切除および肝移植後の術語再発について、血中ヒトアルブミンm-RNAによる早期発見とモニタリングの可否を検討することを目的に本研究を行った。 検討は、肝細胞癌に対する肝切除症例において、術前術中術後に経時的にヒトアルブミンm-RNAを測定し、他の検査所見と比較検討した。また、肝細胞癌に対する肝移植症例において術前術中術後に経時的にヒトアルブミンm-RNAを測定し、他の検査所見と比較検討した。さらに肝切除症例および肝移植症例の術後に、ヒトアルブミンm-RNAが再度陽性化した症例にchemoembolizationあるいは全身的化学療法を行い、ヒトアルブミンm-RNAの推移と病態を比較検討した。 以上により、ヒトアルブミンm-RNAが肝細胞癌に対する外科治療の効果判定の指標となりうるか、術後再発の早期マーカーとなりうるか、再発症例に対する化学療法の適応とタイミングおよび治療効果判定の指標となりうるかを検討し、臨床応用への可否を明らかにすることを目的に本研究を行ってきた。その結果、血中ヒトアルブミンm-RNA単独では肝細胞癌に対する特異性にやや問題があるものの有用性が示唆された。今後、他の因子と組み合わせることによってさらに特異性を高めることができる可能性がある。この点を中心として今後継続して検討を行う予定である。
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